あの丘で、シリウスに願いを



贔屓のチームが勝ち、興奮さめやらぬまことは部屋の窓を開けて夜風に当たった。興奮し過ぎて暑い。



「ご覧下さい、この色鮮やかなお料理。
こちらは、ベリーヒルズビレッジでいただける季節の懐石料理です。うわぁ、美味しそう」
野球中継の後、テレビはグルメ番組になっていた。

「お肉なんて、噛まなくても溶けちゃいました。
お料理は、季節ごとにメニューが変わるそうなんです。今しか味わえない味なんですね」
可愛らしい女性レポーターが、満面の笑みを浮かべる。彼女の美味しそうに食べること。


ーー美味しそう。ううん、絶対、美味しい。
食べてみたいな。


お昼と言っても食べたのは夕方だけど、カップ麺。夜も、缶ビールとおつまみ。


ーーこっちが、身の丈に合ってるか。


遠い憧れより、近くの幸せを噛み締めた。












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