あの丘で、シリウスに願いを
「ごめんね、まこと先生。産まれたら洸平にたっぷり働かせるから。クリスマス近いっていうのに、デートも出来ないでしょ?」

たぶん、彼氏なんていないとわかっていて、翔太がまことをからかった。

「クリスマスに予定なんてありませんから。翔太先生こそ、女の子と予定ビッシリなんじゃ?」
「クリスマスは、一人ずつデートするのが大変でさ。いっそ全員いっぺんに連れて歩くか。
でも、俺の取り合いになっちゃうと修羅場だな」

まことも負けずに翔太に言い返してみたが、さすがは翔太、一枚うわての返事が返ってきた。

「ハイハイ、モテる方は大変ですねー。
私、忙しくなる前にちょっと食事します」

かまっていてもラチがあかないと、まことは翔太を気にしないようにする。
比較的穏やかな今のうちに、お腹に食べ物を入れておこうと思った。

「今日は何食べるの?」
「お弁当です。田舎から冬野菜が届いたので」
「意外。まこと先生、料理できるの?」
「農家の娘ですよ。簡単な料理くらいなら出来ます」


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