あの丘で、シリウスに願いを
「それにしてもわざわざ謝りに来てくれたんだ」
「私、何でもグズグズすることが嫌なんです。
間違いがあれば、すぐに修正したい。謝るべき事があるなら、こじらせる前にすぐに謝りたいんです」
「なんか、俺より男らしいなぁ。まこと先生らしくていいね。いつも冷静で、よく周りが見えていて。決断力もある。
あ、でも、それってコレのせいじゃない?」

翔太は、右手で自分の胸を指差した。

「心臓に負担をかけないように。
興奮しないように生活していく事に慣れてるんだよね、きっと。
明日には動かないかもしれない。だから、遺憾を残しておきたくない。グズグズしてこじらせてなんかいられない。そんな風に生きてるんでしょ?」


どうして。
ズバリと言い当てられた。普段はそのフラフラした軽い態度が気に入らない男に。
悔しいような、でもやっと気付いてくれる人に出会えたという喜びにも似た、こそばゆさも感じていた。

「初めてです。それ言われたの。みんな、男らしいとかサバサバしてる性格だって言うけれど、理由までは気づかない。
翔太先生、すごい」
「あ、褒められた」

翔太が嬉しそうにニッコリと微笑んだ。

女の子たちが、高スペックだ、カッコいいと騒ぐ、王子様のようなキラキラした輝く微笑み。
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