あの丘で、シリウスに願いを
第六章 シンデレラには興味ない
翔太に連れられて訪れたのは、ベリーヒルズビレッジオフィスビル。高級レストランやホテルがその高層階を占めているが、中層階はオフィスゾーン。そのオフィスゾーンの一角。

エレベーターを降りた目の前に、JとSを組み合わせた有名なロゴのモニュメントがあり、その隣の壁に[JUNNZO SUZUKI]とお洒落な文字が見えた。
JUNNZO SUZUKIと言えばファッションに疎いまことも知っている、日本を代表するデザイナーだ。

そのオフィスに翔太はズカズカと入る。雑然としたオフィス内を、作業しているスタッフ達に挨拶しながら進んでいく。皆、翔太をよく知っているようで気さくに挨拶を返していた。

ここにいる人々は皆、クリスマスイブだというのに、忙しそうに働いている。まことは、自分がひどく場違いなところにいると、強く思う。


ーーせっかくのイブに何しているんだろう、私。そもそもベリヒルでイルミネーションを見ることが目的だったのに。
何故、こんな場所に?


< 66 / 153 >

この作品をシェア

pagetop