マリッジ大作戦
 二人で行った函館の旅行写真は、浴衣姿が送られてきた。はだけた浴衣の合わせから、ピンクダイヤモンドのネックレスが見え、"まだ、俺のこと、好きでいてくれるんだな"と安心した。

-まだ、まゆりは忘れてないよ-

そう相原に言われるたび、胸が痛くなる。

別れを切りださせてしまったことに。

「兄貴!」

キャリーケースを引きずりながら、ゲートをくぐると、弟と婚約者の結花さんが待っているに、気がついた。

「崇士!結花さんもお迎えありがとう。」

メガネをかけ、俳優顔負けの甘いマスクにスーツにネクタイをきっちりとした瑛士を一回り小さくした感じの男性の横には、同じくらいの身長で前髪を斜めに分けた黒髪ロングストレートの女性が着物を着て寄り添っている。

「お帰り、兄貴。」
「お帰りなさい。お兄様。」

********
自分の助手席に乗るのは、結花だけだと話しているのを知っていたので後部席に乗り込む。

車から流れる景色を見ながら、申し送り事項を聞く。

五年前と色々なものがずいぶんと変わったと思う。

一番変わったのは、恋愛には向かない弟に婚約者が出来たことやベリーズヒルズビレッジができ、そこに東郷リゾートが出来たことだと思う。
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