マリッジ大作戦
①5年ぶりの再会
雅榮まゆりの朝はとにかく早い。

4時半に起きて5時半には職場にいるそんな生活だ。

早朝に空いてるコーヒーショップがないため自分でドリップしたコーヒーをマグと水筒に入れ
パンとスープで軽く朝ごはんをすませると、家を出て自転車で移動する。

5年前とは違う生活だ。

まゆりは、雅榮の名前を出さずにガーデニングフラワーアーティストまゆりという名前で仕事をしている。

今の職場ベリーズヒルズビレッジの庭園管理のメインアーティストになったのは、ベリーズヒルズができた二年前。

京都で高級料亭の庭師をしていた時に、兄から声がかかったのがきっかけだ。

『ベリーズヒルズビレッジの庭園管理をまゆりに任せたい。』

そう、久しぶりの電話で言われ呼び戻されたのだ。

まゆりは、雅榮家の長女だ。

雅榮家は、平安時代から花や植物、雅楽などをこよなく愛し、万葉集や和歌を広める活動に尽力した功績を称えられ、天皇より位をいただいたらしい。
それから、財閥家に成り上がり今では華族扱いを受ける、日本有数の財閥家だ。

独自の流派を作り出し、雅(みやび)流として新たな旋風を巻き起こしたのは、今から何百年か前のはなし。




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