マリッジ大作戦
 別れたつもりはないが、自分自身で解決すべき問題だから、連れていくとも、待っていてくれとも言えず、その日のうちに成田から発った。

 5年の間、会社と家の往復で、食事だけは外に食べに行く生活をし、とにかく自分が納得する以上の成果を出すためだけに日々、精進した。

 人恋しい時は、まゆりをヨーロッパに連れてきたらどんな反応するかを妄想してすごし、女が近寄って来てもずっとあしらっていたら、同性愛者ではないかと思われ、男性に狙われることもあったのは、まゆりには内緒にしたい。

 やっと胸を張って帰れる。

 だからこそ、この5年を無駄には出来ないし、好きなだけじゃ手に入らないと思っていた昔の自分を叱責し、前に進みたい。

 そんな風に考えていたらニヤニヤが止まらずに、ミラー越しに弟と目が合い、不気味がられた。

 すぐにでも、まゆりに会いたい俺は、父が待つ東郷リゾートよりも先にベリーズヒルズビレッジのテナントの最上階にある庭園横の庭園管理室を目指していた。

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