地獄船
「次は森田文夫~」


文夫が大きく目を見開いた。


再び歌が広間の中を包み込む。


星斗に対して卑怯な事をした文夫を、冷たい目で見ている小恋。


ここで文夫が当たりを引けば小恋は助かる事が決定する。


だからだろう、その目は険しかった。


鬼たちの歌が終る。


小恋がゴクリと唾を飲みこんだ。


「大森文夫、はずれ~」


鬼の声が響き渡り、小恋が息を飲んだ。


文夫に笑顔が戻り両手を突き上げて喜ぶ。


嘘だろ……?


あみだくじの結果に俺は唖然として鬼を見ていた。


文夫が死ぬべきだとは思わない。


だけど、小恋が死ぬなんて、そんなこと……。


「最後、松本小恋~」
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