地獄船
結果はわかり切っているのに、鬼が楽しげに歌いだす。


子鬼たちも一緒になって歌う。


やめろ。


その歌が終れば、小恋の未来が決まってしまう。


やめろ。


歌うな。歌うな。歌うな!


両手で強く耳をふさいだその瞬間、歌が止まった。


一瞬気持ちが届いたのかと思った。


でも違う。


あみだくじが終ったのだ。


鬼がニヤリと口角をあげて笑い、小恋を見た。


「松本小恋、当たり~!!」


鬼の声が広間中に響き渡ったのだった。
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