地獄船
それから更にしばらくしてからだった。


鬼がマイクを手に取ったのが見えた。


どうやら結果が出たようだ。


俺は知らず知らずのうちに綾の手を強く握りしめていた。


「え~……紅組か白組か決める予定だったけど、決められなかった」


そこで鬼がポリポリと頭をかいた。


その様子は見様によっては申し訳なさそうな仕草にも見える。


「そこで、個人で評価することになった」


鬼の言葉に一気に期待が高まる。


個人での評価なら、綾は間違いなくセーフだ。


俺と浩成もきっと大丈夫だろう。


問題は小恋とミヅキだ。


案の定2人は顔を見合わせてオロオロし始めている。
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