地獄船
千春が死んだ。


なのに観覧車は止まらない。


罰ゲームはまだ終わっていないのだ。


止めろよ。


そう言いたかったけれど、もう声には出なかった。


次は俺が殺さるかもしれない。


次は俺が食べられるかもしれない。


そう思うと、動くことすらできなかった。


「他の奴ら、なかなかしぶといなー」


鬼が肉を食べながらつまらなさそうな声を出す。


「回転速度、マックスー!」


子鬼がはしゃぎながらそう言った。


途端に観覧車が目に見えないくらいのスピードで回りはじめた。


まるでコマ回しを見ているようだった。


回っている時じゃないと見る事ができない、綺麗な模様が浮かび上がっているようにも見えて来た。


綾が口元を押さえて走り出した。


トイレに行くのだろう。
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