君の腋を舐めたい


―――――― 


近すぎず、遠すぎない距離に停めた車内。


キャンパスから出てくる彼女の姿は、昨日入ってくる時に見た光景と同じで・・

俯きながら、今にも倒れそうな弱々しい足取りで・・独りトボトボと歩いていた。



「あの・・すみません。」


「・・・・・・?」


車内から降りて、その背中に声を掛ける。

少しだけビクッとして振り返った目が合った後、手帳を見せた。


「セイズ署生活安全課の水沢です。」
「同じく福留と申します。」


「・・・・警察・・・?」


「三枝チヅルちゃんだよね?

いきなり話掛けてごめんね。
今ちょっとだけいいかな・・?」


「・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・。」


「「・・・・・・。」」



「・・・・・スッ・・スッ・・・。」


「「え・・?」」


な・・・泣き出した・・?


「ごめんなさい・・ごめんなざい・・
ごめんなざい!!」


「「!?」」


ご・・・号泣し出した・・!!?


「ごめんなざい!!
わだじ・・つい・・出来心で・・
ごめんなざい・・!!」



「ちょ、ちょっと待って。
え~っと・・何の話かな?

私達はただ西内リサちゃ・・・。」



「・・スッ・・・・スッ・・ヒック・・
・・・・わだじでず・・・。

リサちゃんの部屋のドアノブに悪戯したのは私です!!」


「・・・・は!!?」
「なにーーーーーー!!?」




過呼吸気味に号泣を続けるチヅルちゃん。

指をさしながら、“み・・み・・水溶き片栗粉!?”と腰を抜かす福ちゃん。

全く予想もしなかった展開に腰を抜かしかける私。


三者三様のカオスな雰囲気になったので、一旦チヅルちゃんを私達の車へと連れて行った。






第5章 完











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