俺様外科医との甘い攻防戦

 フッと息を吐くように笑い、脱いでしまったシャツを私にかける。

「これでいいだろ」

「これでは、私の目のやり場に困ります」

「抱き締めるから、平気」

 シーツも布団もめくろうとするから、「キャッ。あっち! あっちを向いててください」と悲鳴を上げる。

「昨日、隅々まで見たのに」

 ため息混じりに言われ、金切り声を上げそうになる。

「そ、そういうことを言わないでください!」

「いいから、着れた?」

「久城先生は意地悪です」

 ぶつぶつ文句を言っていると、「見逃してきたけど、起きてから、ずっと久城先生って呼んでるからな。覚えてろよ」と言って鼻に噛みつかれる。

 それから、シーツを引っ張って、久城先生は私をかかえるように抱き締めた。

「あ、の。近くて。心臓が」

「昨日、もっと……」

「もう! そういうのいいんで!」

 クスクスと笑われ、泣き言を言う。

「私、まだ状況が掴めなくて」

「ああ。そうだよな。ごめん」

 コツンと頭をくっつけられ、それから久城先生はゆっくりと話し出した。
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