遺書
『由理へ、俺には解けなくなったから、由理が代わりに解いてくれ。付箋の付いた問題を解いてから同封の封筒で応募して欲しい。頼んだぞ。高瀬透』

叔父さんの字で書いていたが、ただの頼み事で遺書ではなかった。

「何て書いてあるんだい?」

無言のまま私は刑事さんにメモを渡すが、メモを読んだ刑事は大きく溜息を吐いて突き返す。

「これは事件と関係ないな。不謹慎な物を用意するんじゃない」

私が悪戯で用意したものだと刑事さんは決めつけ、冷たく言い放つと別の警察官に呼ばれてどこかへ行ってしまった。隣にいるオバさんも似たような反応で困った顔をしている。
私は残された異色な遺書を呆然と見つめ続けた。
< 18 / 67 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop