お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言
紗希に愚痴を聞いてもらい少しだけ気が楽になった気がする。そして紗希に説得されて諦めもつき始めた。こうなる運命だったのだと言い聞かせ、負の感情を沈める。

そして、それから話はどんどん進み、つい先日両家の顔合わせがあった。両親は互いに意気投合していたし、九条さんも爽やかな表向きスタイルで対応していて、がっちりうちの両親の心を掴んだ模様だった。

私の気持ちだけが同じベクトルを向いていなくて、ポツンと取り残されている。ちゃんと気持ちの整理もつかぬまま、不安と戸惑いと絶望に支配されるなか、今日から九条さんとの同居生活が始まろうとしていた。

「今日からお世話になります」

「ついさっき荷物が届いたところだ。部屋に運んでもらったから配置を替えたければ言ってくれ」

「いえ。大丈夫です」

「なんだか冴えない顔をしているな。まぁいい。入れ」

ペコリと頭を下げて九条さんの家に足を踏み入れた。
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