お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言
ビレッジ内をゆっくりと歩き、父の病院へと足を進めていく。

裏口の厳重なセキリュティを突破しエレベーターに乗り込んで、父がいる院長室を目指していた。

「美月様、お久しぶりでございます。院長があちらの院長室でお待ちですのでご案内致しますね」

父の秘書をしている早瀬(はやせ)さんという女性が柔らかな笑顔で私を迎えてくれて、彼女の後に続き、父がいる院長室へと向かう。

早瀬さんがドアをノックすると、中から返答があり、早瀬さんがドアノブに手を掛けた。

「久しぶりだな、美月。急に呼び出してすまない。ひとまず、そこのソファーに座ってくれ」

優しく微笑む白衣姿の父がそう促す。私がソファーに腰を下ろすと、父も目の前の席へと腰を下ろした。

早瀬さんが淹れたての紅茶を運んできてくれて、目の前のテーブルに置いた。そのカップから上がる湯気をぼんやりと眺めながら、父の話を待つ。

だが、なかなか話を切り出さない父に胸のドキドキが加速していく。そんな高鳴る鼓動を鎮めようと、私はカップを手に取り紅茶を一口飲んだ。
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