お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言
「落ち着いて聞いてほしいんだが……」

私が紅茶のカップをソーサーに戻すのを待っていたかのようなタイミングで、父が話を始め、私の視線は目の前の父へと集中する。

「はい。なんでしょうか？」

「美月に見合い話があるんだ。急ではあるが、今週末にそのお相手と会ってもらいたい」

「え？」

思いもしなかった父の言葉に衝撃を受け、思考が一瞬停止した。

い、今なんて言ったの？
この私に見合い話って……そんなの……

徐々に脳が理解し始めると、焦りや不安や苛立ち……様々な感情が湧き上がってきた。

「そんな大事な話を私に相談もなく決めてしまうなんてあんまりよ！　見合いなんて絶対に受けませんから！」

父への怒りから声が荒がる。私の瞳に映る父の顔は、どこか切なげで複雑な表情に見えたが、そんな父を気遣う余裕がないほど気が動転してしまっていた。

「本当にすまないと思っている。だが、この見合い話は簡単に断わることができなかったんだ」

「断わることができない？　どうしてですか？　そんな強制的で理不尽な見合いを受けろと言うんですか？」

「これは九条(くじょう)会長から提案されたものだ。美月の見合い相手は九条会長の息子さんなんだ」

「え？」

見合い相手を知らされ、本日二度目の衝撃を受けた私は大きく目を見開いた。
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