お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言
そそくさと夕飯を済ませてリビングでテレビを見ながら、ちょこちょこ携帯を手に取りネットサーフィンをして過ごしていた。

時刻は十九時を少し回ったところだ。薫さんが帰ってくるまでに洗濯を済ませてお風呂に入って、部屋の片付けをしておこう、そう思いランドリー室に向かおうとしたそのとき。

ーープルルルル

再び携帯の着信音が部屋に響いた。薫さんからだろうか? ふと頭に浮かんだのは薫さんの顔だったが……

「お父様? どうかしたんですか?」

電話の相手は父だった。

『都合がいいときに実家に顔を出してくれと言っておいたんだが、なかなか美月が顔を出さないから連絡をしてみたんだ。仕事が忙しいのか?』

「あ、ごめんなさい。すっかり忘れていました」

『そうだったのか。今日は今から家に来れたりするか? 明日から出張で九州に行くからしばらく会えそうになくてね。美月に渡したいものがあるんだ』

「分かりました。今からそちらに向かいます」

『ならば倉本をそちらに向かわせよう』

「え? わざわざ来てもらわなくても大丈夫でしす。タクシーでそっちに向かいますから」

『ちょうど今、ベリーヒルズビレッジ内のモールに倉本を行かせているんだ。明日からの出張の手土産に光月堂の茶菓子を持って行こうと思っていてね』

「そうだったんですか」

『今から倉本に連絡するから美月は支度をして待っていなさい』

「分かりました」

それから数十分後、倉本さんが迎えに来てくれて私は後部座席へと乗り込んだ。
< 62 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop