お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言
「シェフに今日のおすすめを聞いて、俺の独断でメニューを厳選したから食べてみてよ」

コース料理を避けてくれたのも、きっと名波先生の気遣いなんだろうな。目の前に運ばれてきたいくつかの料理を名波先生自ら取り皿にいくつか載せてくれて私の前に差し出す。そして、私がアルコールに弱いことを知っている名波先生は、ノンアルのドリンクを頼んでくれた。

「気持ちが沈んでいるときは飲んで忘れるに限る。美月ちゃんの場合は、ノンアルだから酔うことはないけどね。まぁ気分だけでも味わう感じでさ」

「ありがとうございます」

「シーブリーズっていうカクテルで、グレープフルーツとクランベリーがミックスされているから爽やかで飲みやすいと思う」

ひと口飲んでみると爽やかな酸味が口いっぱいに広がり、名波先生が言っていたように口当たりのいい味だと思った。

気持ちが沈んでいて食欲が沸かないが、名波先生がせっかく頼んでくれたのだからと思い、少しずつ料理を口に運ぶ。そして時々、ドリンクを挟みながら名波先生の話に耳を傾けていた。

仕事終わりで疲れているだろうに、それを微塵も感じさせない。優しくて温かい名波先生がそこにはいる。名波先生は私になにがあったのかと聞いてこないし、そこに触れてもこない。
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