お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言
私が思いついた方法とは、見合い相手である九条会長の息子さんの方からこの見合いを断ってもらうという、一か八かのものだ。どんなに考えてもそれ以上の妙案は浮かばなかった。

「なかなか身を固めようとしない息子にヤキモキしている」そんな会長の言葉から察するに、息子さんもあまり見合い話には気乗りしていないのだと思われた。ならば、そこに一利の望みをかけてみようと思ったのだ。

やんわり丁重に、そちらからこの見合い話を断ってくれないかとお願いすれば、その案に乗ってくれるのではなかろうか。そうすれば、会長の面子は保たれるし、父と会長の関係が壊れることも避けられるはずだ。

うまくいくかは、やってみなくては分からない。だけどそれしか穏便に済む方法が思いつかないのだから仕方ない。不安はすごくあるけれど最後の悪あがきをしてみようと思う。ダメだったら、そのときはそのときに最良の策を考えればいい。

そう自分自身に言い聞かせ続けた週末までの日々を悶々とした気持ちで過ごした。そして運命の日は私のもとに静かにやってきた。
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