復讐目的で近づいた私をいくらで飼いますか?
職場のラウンジの一つ上の階に位置する展望台は、煌びやかなベリーヒルズビレッジを一望できる魅惑的な場所だった。一つ一つの照明が存在を主張し、豪勢に眼に飛び込んでくる。
立食式のパーティーで、私は新の隣を離れないように指示された。
私は新の秘書的な立ち位置らしい。
何故呼ばれたかもわからないパーティーで、私は教養として身につけていたマナー通りにヒソヒソと過ごすつもりだったのに…。
「とても美しいお召し物ですね」
「スタイルの良さが映えますね」
もっ…ものすごく目立ってませんか!?
私なんてサブのサブみたいな立場。
卑しいと笑われることさえあるラウンジレディなのに。
「私が見立てました。彼女はとても美しい。肌の色や洗練された仕草。様々な要素を鑑みたところ、このワインレッドのドレスが一番彼女に最適だと…」
新の手に持つワインを注いだグラスが、光を反射させて私の眼を眩ます。
顔全体の筋肉を使って笑顔を浮かべる新は仕事モード全開で。
(裏表が激しいところは私と新、似たもの同士だ)
なんていう嬉しくない共通点を抱いて、新の接待を横目で見ていた。