復讐目的で近づいた私をいくらで飼いますか?
高鳴り
婚約者発表パーティーを終えた夜。

新はパーティー会場の展望台と同じオフィスビルにあるホテルを一室予約していたらしく、私たち2人は今夜、そこに泊まる。


「……そういえばローストビーフ、新は食べなかったね。」

「あんなのいつでも食べれるだろ。」

「食べたいって言ってたじゃん」

「あぁ、あれはお前のこと」


唐突に大人な雰囲気出してネクタイを緩める姿に、『え、このタイミング?』と驚きつつも受け入れる。
ホテルに泊まるって聞いた時から一緒に寝ることなんてわかっていたことだし、今更拒もうとも思わない。

だけど…。


「お風呂…」

「……あとでいいだろ。どうせ汗だくになるんだから」


ぶわっと顔に熱が襲う。汗まみれになるくらいに激しく抱かれることを想像してしまった自分の変態さに恥ずかしくなる。


「いや、でも…!先にお風呂入りたい!」

「………じゃあ…」


この次に続く新の発言に、私は生唾を飲み込んだ。


『風呂場で気持ちよくさせてやるよ』


キザな台詞も、どんなに大人な台詞だって様になる顔立ちが恨めしくなった。





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