本当にそれでいいですか?

二人の声が重なり煩いほど名前を呼ばれた。だから仕方なく私は隆也達の方へと顔を上げることに。


「愛菜恵…っ、何でお前がっ」

「たまたま通りかかったのよ。そしたら変な騒ぎが聞こえてくるじゃない。悪いけど痴話喧嘩なら家でやってくれない?周りが迷惑がってることに気が付かないの?いい大人が二人して大声を出して恥ずかしい。アイスの一つぐらい買ってあげればいいじゃない」


ふと莉奈と目が合った。
その瞬間ばつの悪そうな顔を向けられた。まるで今の自分を見られたくないような素振り。それがかえって興味を引き、逆に見てくれと言わわれてるようで、私は靴の先から頭の天辺まで観察するかのように見定めた。


「な、なによ…」

「いいえ」


随分雰囲気が変わっていた。
3年前綺麗に巻かれた長い髪はあまり手入れができてないようで、後ろでにさっと一つで縛られている。
ヘアカラーだって半年ぐらい美容院に行っていないのか、その分根本の生え際は黒くなり、毛先は色が抜けち逆に金髪に近い明るさになっている。

まつ毛のエクステやネイルだって今の彼女には施されていない。
むしろ爪にはヒビが入り肌も指先も手荒れでかさついている状態だ。
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