本当にそれでいいですか?

3年でこうも変わるものだろうか?
まるで3年前の私を見ているようだ。


「随分変わったわね」

「い、忙しいのよ。毎日家事に子育てに姑からの嫌がらせ。自分のことなんてやってる暇なんて…」

「ないわよね」


そりゃそうだ。彼女の言うことならよく分かる。私も通ってきた道だから。
けどその反面そら見たことかとも思ってしまった。
彼女を見るかぎり全身から怒りと不満のオーラが駄々もれだ。幸せなんて文字は少しも感じられない。


「あ、あなたの方こそ変わったじゃない。3年前と雰囲気がまるで違うっ」

「そうかしら?」


白々しく言葉を返してみたが正直その通りだった。まるで逆転したように今の私はちゃんと化粧をしてそれなりの身だしなみを保っている。
服装も黒のレースのタイトスカートを履き、トップスはボリューム袖のブラウスを組み合わせた上品かつ綺麗目なスタイルだ。

足元だって大好きなヒール高めのパンプスを履きこなしており、本来これが隆也と結婚する前の私だった。

美容やファッションが大好きだったため、まめに自分磨きや手入れは怠らなかった。
仕事だって大手エステサロンでバリバリに働いていた経歴もある。


「ほ、本当に愛菜恵なのか?」

「当たり前じゃない、何言ってるのよ」


そして眉間にシワを寄せた隆也までがぼそり。
ジロジロ見られたのは今度私の方だった。足の爪先から頭の天辺まで二人からの視線が痛いほど突き刺ささったけど、素知らぬ顔して微笑みかける。


「私もこの三年色々あったのよ。あ、そうそう、去年青山に念願のエステサロンをオープンしてね。毎日慌ただしいけどとても充実した日々を送らせてもらってるわ」
< 18 / 22 >

この作品をシェア

pagetop