第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
「おお……!」
すごい。まさに職人技だ。
「こうやって貝殻やシーグラスで作られるアクセサリーは、この辺りの名産品なんだ」
カイはそう言って得意げに笑い、老女に代金を支払う。
なるほど、それで貝殻やシーグラスをあんなに集めたのか。納得と同時に、アリシアはこの加工品に強い興味が湧いてくる。
「あの、この小さなシーグラスでも何か作ってもらうことができますか?あとこっちの大きめの白いシーグラスと貝殻を使ってこれと同じようなネックレスも……」
「もちろんだよ。少し待ちな」
老女は少し考える素振りを見せた後、すぐに手を動かし始める。
手際の良さに目を離せないまま、青い小さなシーグラス二つは、ゆらゆら揺れるピアスへと姿を変えた。
「綺麗」
ゆらゆらとゆれる青い石のピアス。
それを見ると、自然とある一人の姿が浮かぶ。
「アリシア殿。今、このピアスはイルに似合いそうだと思っただろう」
「なっ……!」
今まさに思い浮かべていた人物の名前をカイに当てられ、アリシアは酷く動揺する。
カイは「何だ図星か」とニヤニヤして、ピアスを贈り物用に包むよう老女に言った。