第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II


 うっとりと眺めていると、カイが黄色のハイビスカスを一つ摘み、アリシアの髪にそっと挿した。



「えっ……摘んでしまったらもったいないですよ」


「気にすることない!どうせこの花は一日しか咲かないから、あと数時間もすれば萎んでしまうんだ」


「これ、一日しか咲かないんですか?」


「ああ。美しい貴女に彩りを添える最期なら、花も幸せだろう。よく似合っている!」


「あ、ありがとうございます……」



 歯の浮くような甘い言葉に気恥ずかしくなり、つい声が小さくなる。彼はどうやらこのような言葉も、喜ばせるためというより本気で言っているらしく、逆にタチが悪い。


 カイは満足そうに笑い、優しくアリシアの髪を撫でた。

 どうして良いかわからず視線をさまよわせていると、程なくしてパシッという音と共にカイの手は振り払われた。



「触りすぎだ」


「ん、そうか?だが、好いている女性に触れたいと思うのは自然な感情だろう?」



 厳しい声で言うイルヴィスに、カイは不満そうな声を上げる。



「少しは自制しろと言っている。アリシアの婚約者は私だ」


「少し髪に触れるくらいでもだめなのか?お前たちを見ていると『婚約者』という関係は意外と脆いもののような気がしてくるな」


「何だと?」


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