俺様天使の助手になりまして
天使の仲間の登場です
[天使の仲間の登場です]

 上りきった先に、噂の映画の立て看板がある。可愛い女子高生にキスをしようとしている、イケメン男子高生の絵だ。

 キャラメルポップコーンの甘い香り。黒っぽい絨毯にグレーの壁。全体に暗めな照明で、チケット販売と売店だけが明るい。

 たくさんあるシネマ室はどれも上映中マークが点り、ロビーにいる人はまばらだ。外国映画の宣伝を流すTV画面だけが、ゴゴゴゴゴ……バーン!と、派手な戦闘の効果音を流している。

「ここには無ぇな」

「そうだね。ナビっちは無反応だし、上映中のシネマ室を一個一個見る訳にいかないもんね」

 店内全部を探して無かったら、なんとかして中を探すしかないが。

 下へ降りて、端にあるおもちゃ屋さんから順番に探していくことにした。中には、無邪気におもちゃを見る子供たちとそのママがいるだけで、憑かれたらしい人もいないし、玉もない。

 それから、雑貨屋、靴下専門店、鞄屋とまわって、本屋に来た。

 本屋の前には、あちら側とこちら側の通路を繋げる橋がある。

 その広いところに、似顔絵描きの出店が出ていた。イーゼルに立て掛けたコルクボードに、はがき大の絵が飾ってある。

「わあ、すっごい上手~。わぁ、超似てる~。あ! 福士くんだぁ!!」
< 144 / 264 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop