俺様天使の助手になりまして
結構深刻なことでした
[結構深刻なことでした]

 しばらくして羽ばたく音が聞こえなくなり、空にぷかぷか浮いているだけの状態になった。

 そして急にお腹の辺りがふわってなって、思わず息を止める。

 これは降下しているんじゃない。頭から落ちているんだ。声も出ない。風がすごくて息ができない。

 やだっ、怖いーーーっ。

 目をぎゅっと瞑って必死に耐えていると、急に落下が止まって、体がぐわってショックを受けた。

 今はゆっくりと地面におりているけれど、ぐるぐるぐるぐる目がまわる。私の足はどこにあるんだろう。体の感覚がない。

「うぷっ、気持ち悪い」

 ジェットコースターより酷い。どんな絶叫マシンだって敵わない。もう怒る元気もない。

「リクトール様。お帰りなさい。おや? その少女は?」

 ちょっと嗄れた感じの男性の声がする。誰だろう。

「こいつは、俺の助手だ」

「おやまあ、これは。どうなさったのですか? どこかお怪我を?」

「いや……ああ、これは、俺が失敗したんだな。……どうも加減が分からねぇ」

「ああ、それでは今すぐに、冷たい飲み物をお持ちします。ゆっくり休んでもらいましょう。お早く中へ」

 ぐるぐる目が回って周りの景色を見る余裕がないけど、どこかへ運ばれていくのは分かる。

 ドアを開け閉めするような音がして、しばらくゆらゆら揺れていた私の体が一ヵ所にとどまった。

 どこかに寝かされたみたいだ。頬や額に、何かがぺたぺたと当たる。何だろう。じんわり温かくて気持ちがいい。それに、何だかすごーく落ち着く。
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