俺様天使の助手になりまして

 そう教えてくれたのは、ママだ。好き嫌いなく残さず食べるとか、食べ方とか、話す内容とか、いろいろ見てみなさいって。

 そうすれば、自分と価値観が合うか合わないか、分かるからって。

「食べ終わったら出掛けるぞ。精玉探しだ」

「うん。ね、無暗矢鱈と探しまわるより、ある程度範囲を絞った方がいいと思うよ。作戦会議って言うか、そういうのしようよ。まず、駅の方から下ってくるとかさ」

 ここのところ、ナビっちが反応しない日が続いている。

 今まで捕まえたのは、『愛』と『執』。そして、登校する時に、道の端を飛んでいるのを偶然見つけた『智』。

 それから、公園にある親水広場の噴水の中に沈んでいた『優』。

 優は、ちびっこがいっぱい遊んでいるそばにあったんだ。

 ちびっこや、そのママに憑かなくて良かった。アクマ天使に言わせれば、みんながみんな同じくらいの『優』を持っていたから、玉は反応しなかったってことだった。

 う~ん、精玉って奥が深い。

 善玉三個に悪玉が一個。十個全部見つけられるのは、いつになるんだろう。

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