君を輝かせるのは私だけ。
しばらく隅の方で、

あおと健さんと男子と女子の監督と、女子のキャプテンで話してる。

「難航してるみたいだね。」

由香の言葉に、

「なんで今あおを引こうと思ったの。」

と返すと、

由香が力強い目で俺の目をとらえたままいう。

「そんなの、お兄ちゃん達と同じ理由でしょ。」

…そう言われるとなにも返せない。

あおのレシーブ力は抜きん出てるし、

実際きっと世界を騒がすことができる。

どんなボールだってあげられると思う。

けど、俺たちにだってあおは必要で。

周りの選手も複雑そうにそこに視線と意識を持っていかれてて。

唯一、ニヤニヤとしているのはあのトレーナーだけで。

追い出せるチャンスと思ってんのかな。

あおは、どうしたい?

そんな思いでもう一度あおに視線を向けると、

目が合う。

その目は戸惑いを含んで揺れていて、

俺は思わず走り出す。
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