君を輝かせるのは私だけ。
「高校決めるときさ…莉緒が相談してくれたんだよ。バレーするにはどこがいいかって。それまで莉緒がバレーしたチームはそんな上手いチームじゃなくて注目とかもされなかったから…」

健さんが少し昔の話を始める。

「強いところ行けばって、適当にまでは言わないけど莉緒がレシーブでいくら拾っても決められる人がいないとなって思ったからスパイカー重視してるとこ行けばって安直に答えたわけ。」

まぁ確かにあおが拾って、エースが撃ち抜くチームは強いと思う。

「でも、いざ試合見に行ったら莉緒はベンチでさ、試合に出てないの。なんでだろって思って帰ってきいたら、」

健さんが少し苦しそうにいう。

「『お前はスパイク打てないし、レシーブでチームの輪を乱すから出さない』っていわれたらしい。莉緒はサーブも特にめちゃくちゃいいってわけでは無いからさ、ベンチって言ってもユニフォーム姿じゃなくて指定のジャージ。」

「え、マネージャーってこと?」

俺の疑問にゆっくり健さんがうなずく。

「てか、レシーブで輪を乱すってどういうこと?」

「莉緒が全面手を出してみろ、だいたいの線引きがぐちゃぐちゃになるだろ?」

まぁ確かに誰が決めたわけじゃ無いけど、

ポジションごとにだいたいこの辺までは自分のボールっていうのが存在する。

でもあおは他の人が取れるボールまで横取りして取る事はしないと思う。

周りを見て研究し尽くしてるからこそ、

取れないと判断したボールだけ落とさないように手を伸ばすと思うけど…

「そのチーム結果はどうなったの?」

「まぁあらかたお前の予想通りだよ。県大会ベスト8止まり。もともと不作っていわれてた代だから仕方ないって周りは言ってたけどね。」

あおが入ってんのに不作なんてあり得ないでしょ。

「あおが守備範囲を乱すって言われたってことはそれほどあげられるレシーバーがいなかったってことでしょ?監督はスパイカー至上主義だったんだね」

「その通り。でもそれであいつは今までも別に評価されてこなかったし、高校もそんなんだったからすっかり自分はバレーするの向いてないってなって、それから俺がどう褒めても聞く耳持たないし…。俺が調べもせずに評判だけで高校進めたから…」
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