君を輝かせるのは私だけ。
第5章 ようやく

莉緒side


あの日、祐真さんにわがままを言った。

それでも彼はいいと言ってくれて、

一緒に頑張ると言ってくれた。

だからとにかく私は頑張る、

んだけど…

「宮本選手、筋肉すごいんですね!え、触っていいですか?」

テレビの収録中。

選ばれた代表が男子も女子も数人ずつ出ていて、

私もこの次の取材には写真撮影だけ入らなくてはいけないから、

同行してる。

目の前で筋肉フェチだという可愛いスポーツアナウンサーの方が祐真さんの腹筋あたりをペタペタと触る。

…思わず漏れたため息。

今の私にそれをどうこういう資格も無いけど、

自分にもバレー以外でこんな気持ちがあったんだなと感じて少しびっくり。

見ないように、

撮影場所の隅で壁に向かってイヤホンをつけて、映像をみながらまとめていく。

集中すると、時間はあっという間にすぎて、

肩をトントンとされて振り返る。

「あおさん!休憩入りました!俺も映像みたい!」

渉が目の前にいて、

座ってた長椅子は一つしかないから半分譲る。

「隣失礼します!」

嬉しそうに渉が横に座って、イヤホンを外して2人で映像をみてると、

「宮本選手、本当カッコいいですね!写真撮ってもらえませんか!」

イヤホンを取ると周りの声が耳に入る。

…少し気になって視線を移すと、

少し作り笑顔で写真を断ろうとする祐真さん。

アナウンサーの方の手はしっかり祐真さんに触れてて…

「あおさん、よそ見!」

渉が私の視線に割り込んで言う。

「…そうだね、ごめん。しっかりしないと。」

気にしない。

気にしてる暇があるなら頑張らないと。
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