君を輝かせるのは私だけ。
何度、兄であるけんくんの顔を見ても、
その顔はいつものお兄ちゃんなけんくんの顔ではなくて、
全日本代表のキャプテンの顔で。
「え、まだ大学2年にこれからなるペーペーだよ?資格だって…」
「知識はそんなレベルじゃないだろ。資格だって年齢関係ないものは独学で全部取ってんだろ?」
「でも、世間はそんなこと認めない…よ?」
「世間なんて結果次第で変わるよ。俺らが意識するのは世間の意見より勝利への執着だろ。」
「いや、でも、」
「世には高校出て働いてる人なんて沢山いる。その人には働く資格ないって周りはいうか?」
「そんなわけないじゃん!」
「だろ、むしろかっこいいよな自分の道をその年で決めれるって。お前も同じじゃないの?」
…たんたんと話すけんくんに、
頭がついてかない。
「でもお前大学と専門掛け持ち続けるんだよな?」
「え、うん、管理栄養士と柔道整復師両方取りたいから…他にも取りたいけど限界あるし…昼は大学、夜は専門にいくつもり。」
そうだよ、だから今みたいに家で独学とかリモートで授業を受けてとかじゃないから練習を生でみる時間が少なすぎる。
けんくんは、ふーん、と言って、
私の手からノートとタブレットを取り上げてみんなの輪の中へ戻ってく。
えっ、ちょ、それは私のっ!