君を輝かせるのは私だけ。
お辞儀から起き上がったそのままの勢いで、
振り返って走り出そうとするけど、
「へぶっ!!」
何かにぶつかる。
というか変な声でた!
ぶつかって痛めた鼻をさすりながら顔を上げると、
「けんくん。」
「莉緒、さっきはお礼だとか宣伝だとか言ったけど…兄としてじゃなく、バレーボール選手としてお前に頼みたい。俺らと世界一を目指してくれないか。」
少し緊張していて、
私の様子を伺うような目を初めて見たかもしれない。
私の前を常にいく兄は、
いつだって自信に満ち溢れていた。
笑みが溢れる。
なんだ、けんくんも不安になることもあるんだね。
「私もけんくんと世界一の景色をみたい!よろしくお願いします!」
私の言葉に目を見開いて、
けんくんがほっとため息をつく。
横には監督さんもいて、
「これからよろしく頼む。」
と言ってくれる。
後から聞いた話だとミーティングでみんな一致で認めてくれたらしい。
ただ心配なことが沢山あるとのこと。
…それは私もわかってる。
今全日本のバレーは顔が整った人も多いし力をつけてきているから、
今日来るときにみた出待ちの人も今まで以上に多い。
ファンからの目。
でも、私はやり抜かないと!
この日から私の人生は
今まで自分が描いていたものとは大きく変わっていく…