君を輝かせるのは私だけ。

「…悔しい。ムカつく。黙らせたい。あおさんの努力を知って欲しい。あおさんが悲しむのはやだ」

渉がポツポツとホテルのカーペットに新しい模様を作りながら、

目から溢れるそれと同じようにストレートな言葉を口から漏らす。

健さんが強く拳を握っていて、

下を向いて顔を上げない。

きっと健さんの服も渉の下に増えてく模様と同じものが出来ていってるんだろう。

リサちゃんは、下唇を噛んで、

自分に泣く資格は無いと堪えているよう。

…何、冷静に分析してるんだ俺。

そう思うと同時に、

自分の頬に流れるものに気づいて、

ハッとする。

あおは、この辛さを1人きりで?

本当に1人きりで彼女はちゃんと涙を流せてる?

そう思ったらいてもたってもいられなくて、

部屋を飛び出す。

渉の驚く声が聞こえたけど、

それを背にあおの部屋に向かって走る。

あお、泣いてて。

彼女がまだ辛いと感じて、

涙を流せてますように。

耐えて耐えて感覚が麻痺して、

あおの表情から色がなくなって、

涙さえでないようになってませんように。

扉を開けて出迎えた君が、

泣いてた気まずさでどうか俺と目が合うのを気まずそうにしてくれますように。

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