君を輝かせるのは私だけ。
あおの部屋について、
ベルを鳴らすけど、
ただじっと待ってられなくて、
どんどんとドアをたたく。
少したって開いたドアから顔を覗かせたあおの顔をいち早く確認する。
「祐真さん?どうしたんですか?」
ケロリと俺と目を合わせていうあおに血の気がひいていく。
「…入っていい?」
「え?もちろん、いいですけど…」
そう言ってドアを開けてくれて、
ソファに俺を座らせていつも通りに、話しかける。
「急用ですか?水飲みます?」
テーブルに未開封のペットボトルを置いて、
俺から離れる手を掴む。
確認したそれはとても痛々しくて、
手首をそのまま強く引いてあおを自分の腕の中に閉じ込める。
「ちょ、祐真さん?」
「あお?あおは頑張りすぎてる。あおは周りを見過ぎ。あおは優しすぎ。あおは自分を過小評価しすぎ。あおは…」
「ちょ、ちょっと祐真さん?何、急に!」
腕の中でもがくあおを力強く抱きしめる。
「あお、頑張る君は誰より輝いてるよ。でもとても儚くて危うい。…あお、自分を犠牲にしすぎないで。それでも、あおがそうしてしまうなら俺がその分あおを大切にする。」
「…何言ってるんですか。」
あおの少し揺れた声。
「…辛い時は泣いていい、俺が受け止めるよ、一緒に背負うよって言ってる。」
「…この前はもったいないって言った。」
少し子供のように拗ねたような、
普段のあおでは聞いたことのない揺れた不安定な声。
「あれは嬉し涙、でしょ。それはメダルとってから一緒に流したい。」
「…よくわかんない、です。」
そういう彼女の言葉は途切れ途切れで。
静かにすすり泣く声が部屋に響く。
ギュッと力強くまたあおを抱きしめると、
「…苦しい」
って苦情が来て、
「…あおの悔しさを絞り出してあげてるの!」
って返すと、
「なにそれっ」
って彼女が、腕の中で笑う。