時雨刻
お家にあがり、近くでみるとと、よりくっきりと見えました。

わたくしは見つからぬよう縁側の角に隠れ、障子の隙間から、そっと中を覗きこみます。


あのお方は、真裸の《《あられ》》もない格好で、姿で両の腕と膝を畳につかされておりました。
そのうえでは、奥方様が金色夜叉のように髪を振り乱し、罵詈雑言を浴びせながら、厳しい折檻を加えていらっしゃいます。

赤橙に浮かびあがる白いお肌はなお蒼白く、無数の傷痕が刻まれています。
青いお尻に、ぴしゃりと鞭があたる度、哀れっぽい悲鳴があがっています。

その傷痕から吹き出す鮮血が、彼岸花みたいに飛び散って_____

そしてなんと、わたくしたちのお店で売っていた仔猫用の首輪。
あれがあの方の頚に巻かれている。
恐るべきことにあの首輪は、この儀式のために使われるものだったのでした。
< 10 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop