✽新✽魔王様と暁の姫〜月は夜明けの花を永久に想う〜

✽2想✽暁の城

まぶしいーー窓からやわらかな光が差し込む。ずっと雨の中にいたせいか、目が眩みそうだ。こんなにも美しい光を見たのはいつ以来だろう? ベッドから身体を起こしたとき、扉を優しくノックする音がした。


待たせたら悪いと思い、すぐさま開けにいく。そこにいたのはルシュラとリシュティアだった。


パッと少女が笑顔になる。


「おはよう魔王様。よく眠れた?」

「すまないな。急だったから用意できなくて。今日中にユーリ専用の部屋を頼んでおくから、何か希望があればなんでも言ってくれ」


少年は物腰穏やかで、優しい雰囲気を纏っている。


何も言わないユーリを不思議に思ったのか、ルシュラが困ったように笑う。


「まあ、僕に言いづらかったらクオイやリシュティアでもいいからな」


そのまま部屋の奥に進み、大きな窓を開け放つ。風が運んできたのは庭園に咲く鮮やかな薔薇の香りだった。

 

胸の奥が苦しくなるような……


きっと、そんなに大したことじゃない。自分にそう言い聞かせながらユーリは頷いた。

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