熟成復讐
「ずっと待っていた、この時を…。私の苦しみと両親の苦しみをやっと、あんた達に味あわせてやれる‼︎」

彼女…、古井美子が憎悪の目で睨みつける。辺りは古井のまとう腐臭も相まって吐き気がする。

「復讐…?」
「私がこの暗い井戸で死んで幽霊になり、井戸から離れることが出来て真っ先に両親の元へ行ったわ。そこにいたのは死んだように生活している両親の姿だった」

古井の体はゆらりと空中を浮き、物悲しげに語り出す。この世のものとは思えない光景に俺達は誰も声を発せない。

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