カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
「でも……それは、紛れもない不倫の証拠で――」

「それからひとつ、あなたの家の使用人であるという彼に伝言を頼みたいのですが」

総司はすうっと眼差しの温度を低くして、鞠花を突き刺すように睨んだ。

「二度と私の妻に触れるな。次は、ただではおかない……と」

本当に人をも殺めてしまいそうな、凍てついた声。

成功を確信していた鞠花はいい加減気がついた。触れてはいけないものに触れてしまったのだと。

そして、自分がどう足掻いたところでこのふたりの関係は引き離せやしないのだと。

さぁっと血の気の引いた顔で「……伝えておくわ」と声を絞り出す。

「それから。アポイントメントを取ることを覚えた方がいい。常識を疑われるぞ」

最後にちくりと嫌味を言い放ち、総司は立ち上がった。

鞠花がびくりと震えたが、そんな怯え切った彼女を無視して執務卓に戻り、内線で「お客様がお帰りだ」と人を呼ぶ。

やってきた秘書に連れられて、鞠花が部屋を出ていく。

部屋に残されたのは総司と真鍋のみ。

まもなく他の役員たちもやってくるだろう。総司はふうと息を吐きソファに腰を据えると、テーブルに置かれたお茶を口に運んだ。

真鍋はテーブルや床の上に散らばった写真をかき集め、ゴミ箱に捨てることもできず、ひとまず懐へとしまう。

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