カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
「今日、ここに城ケ崎家のご当主様がいらっしゃってるわ」

視線を前に向けたまま、鞠花がうそ寒い笑みを浮かべた。

城ケ崎家のご当主様とは、総司の父親のことだろうか。

「城ケ崎さんが取り合ってくれないのなら、その父親に直談判してやる。嫁の不貞を知れば、激怒するに違いないわ」

どうやら鞠花は、清良が不倫したと義父に直訴するつもりのようだ。

フン、と顎を反らし鼻で笑う鞠花。清良が義父に糾弾される姿を思い浮かべているのだろうか。

「家から追い出されること間違いなしよ。短い幸せだったわね」

もちろん、そんなことを聞かされては清良も平静ではいられない。

義父は懐の広い人だけれど、不貞などと言われてどんな反応を示すか……いい反応でないことだけは確かだ。もしかしたら憤慨するかもしれない、未知数なだけに恐怖が押し寄せてくる。

会場は立食形式で、等間隔にテーブルが配置され、その上に食事やドリンクが置かれていた。一番奥には垂れ幕付きのステージが設営されている。

本日の主役である院瀬見議員はステージの手前で賓客に囲まれ談笑していた。

きちんとした七三分けに銀縁眼鏡。黒いスーツに濃紺のネクタイ。中肉中背でこれといった特徴もなく地味すぎるくらいだが、胸に赤いリボンがついているおかげでかろうじてこのパーティーのホストだということがわかる。

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