カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
「これからあなたを裁いてあげる。来なさい!」

鞠花は清良の腕を掴み、車へと引っ張っていく。

今や罪悪感に苛まれている清良には、その腕を振り払うことができなかった。

『あんたは一生私のおもちゃ』――その言葉が『私にはあなたしかいない』に聞こえて、胸が苦しくなってくる。

深い孤独と憎しみを、鞠花に抱かせてしまったのは自分かもしれない。

鬱積した不満を清良にぶつけることしかできない。それでも満たされはしないのだろう、だからこそいつまでも清良に付きまとう。

彼女の気持ちを考えると、胸が痛かった。



強引に車に乗せられて辿り着いた先は、都内にある高級ホテルだった。

入口の縦看板には、『院瀬見正人(まさと)さん政治活動三十五周年記念祝賀会』と書かれている。

院瀬見正人とは鞠花の父親だ。どうやら今日、このホテルで祝賀会――という名の政治資金パーティーが催されているらしい。

ホテルの上層階にあるパーティースペースに鞠花は迷いなく突き進んでいった。

その階に足を踏み入れると、周囲はスーツを着た真面目そうな男女ばかり。まさに政治家の集いといった様相だ。

派手なタイトドレスを着た鞠花も、オフィスカジュアルでジャケットすら着ていない清良も浮いていた。

周囲は不思議そうにふたりを見つめているが、鞠花は気にした様子もなく、会場の奥に向かっていく。

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