カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
「お客様に隠したって、いずれ知れ渡ることよ。あの資産家である城ケ崎家の嫁が不倫していたんですもの。大スキャンダルよ」

声のボリュームを落とす議員とは反対に、むしろ周りに知らしめるかのごとく、鞠花は大声で演説を始める。

衆目に晒され、清良は何も言い返せずぎゅっと唇をかみしめた。

違う、そうじゃない、私は不倫なんてしていない……そう反論したいが、今言い訳すれば清良と鞠花の言い争いに発展し、騒ぎが大きくなってしまうだろう。

下手に足掻けば恥を上塗りしてしまう。それこそ義父の顔に泥を塗ることになる。

清良が黙り込んだのをいいことに、鞠花は嬉々として偽りの不貞話を披露している。

邪魔をするものは何もない、鞠花の独壇場。

――かと思いきや。

娘の味方であるはずの議員は、いっそう表情を曇らせ「鞠花」と冷ややかに遮った。

「……いいかい、鞠花。その話の前に、まず私の話を聞いてほしい」

議員は鞠花の両肩に手を置くと、声をひそめてゆっくりと言い聞かせた。

「……まず、ここは私の政治活動を応援してくださっている方々を接待するための場だ。我々院瀬見家は真摯な態度で臨まなければならない。だが、そのドレスは派手過ぎて、不快に思われる方もいるかもしれない」

胸元の大きく空いたドレスを嘆かわしげに見つめる。ウエストやヒップのラインもキュッと引き締まっていて、身体の線が丸わかりだ。

突然注意を受けた鞠花は戸惑ったように議員を見つめ返した。

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