カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
腰を抱いてこめかみに優しくキスを落とす。総司の基準はあくまで清良、妻の喜ぶ顔さえ見られればあとはどうでもいいと考えているようだ。

「愛しているよ、清良」

早々と甘い言葉を口にする総司に、清良は胡乱気な眼差しを向けた。

総司が愛を囁くのは、早くベッドインしようという合図だ。

まだ部屋に着いてそう時間も経っていないのに、もう最後のお楽しみをしようというのか。

せっかく旅行に来たのだ、会話や景色をもっと楽しみたいのに……ともどかしい気持ちになる。

せっかちな彼についむくれてしまった。

「……総司さんのその『愛している』は本心? それともサービス?」

「失礼だな。本心ではないと疑う余地があるのか?」

「……だって、いつもベッドの中でしか言ってくれないんですもん」

ぷうっと頬を膨らますと、総司はわずかに目を見開いて意外そうな顔をした。

「……そうだったか? それは確かに問題だな」

清良をエスコートしてベッドへ連れていくと、ふたりで縁に腰掛けあらためて向き合う。

手を握られ、清良はぴくりと身体を震わせた。

押し倒されるのかと思いきや、目の前には真摯な瞳――いつもの欲情している彼とは、なんだか雰囲気が違う。

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