予想外の妊娠ですが、極上社長は身ごもり妻の心も体も娶りたい
社長は私を愛しているから抱いてくれたんだわ! これで私たちは恋人よ!
なんて浮かれた勘違いをするほど、バカじゃない。
有能で知的でいつも男の色気と余裕を纏っている彼が、秘書である私をホテルに連れ込んだのは、たぶんただの気まぐれだ。
『ファッション界のプリンス』と呼ばれ世間の注目を集める極上の御曹司様が、一介の秘書である私なんかに本気になるわけがない。
彼と自分の立場の違いは、ちゃんとわきまえてる。
だから、あの夜のことはなかったことにしようと思っていた。
一生に一度のはじめてを、憧れの社長にささげることができた。
それだけで十分だと、ちゃんと納得していたのに。
「それなのに……」
つぶやきながらもう一度検査薬に視線を落とす。
何度見返しても判定窓にははっきりと縦線が浮かび上がっていた。
まさかあの一回で妊娠してしまうなんて。
こんな展開、予想外すぎる。
「どどどどど、どうしよう……!」
私はひとり途方にくれて頭を抱えた。