予想外の妊娠ですが、極上社長は身ごもり妻の心も体も娶りたい
私は大きく息を吐きだし覚悟を決めて、視線を天井から手元に向けた。
おそるおそる検査薬を見て、息をのむ。
判定と書かれた小窓には、縦線がはっきりと浮かび上がっていた。
その線は、このお腹の中に赤ちゃんがいるという証だった。
生理が予定よりも一週間遅れた。その間ずっと不安で、もしかしてと思ってはいたけど……っ。
実際に結果を突き付けられると、衝撃が大きくてその場に崩れ落ちそうになる。
「うそでしょ……」
悲鳴のような私の声は、静かな部屋の中にやけに大きく響いた。
二十七歳にもなって恋愛経験ゼロで、男の人とデートしたこともなかった。そんな奥手な私が、直属の上司で憧れの人でもあった社長とたった一度だけ夜を共にしたのは、三週間前の就任パーティーの夜のこと。
私にとっては、夢のようなひと時だった。ひそかに想い続けてきた彼に抱かれて、とてもうれしかった。
けれど、私は二十七歳の大人の女だ。
恋人ができたことは一度もないけれど、男の人は好意がなくても女の人を抱けるってことくらい、ちゃんとわかってる。