夏を殺して。


村上は知らなくていい。

全部全部わたしだけのものにして、全部全部わたししか知らないものにしてやるから。



こんな気持ちになるのも全部、今朝見たセミのせいって、できたらよかった。


かわいそうって思ってないくせにかわいそうって言うから。


本当は気持ち悪かったのにかわいそうって言ったら、いいヒトになれる気がしたから。


村上がしてくるであろう話も本当の気持ちでよかったねって言えると思ってた。




残酷だね、村上。


夏とおなじくらい残酷だね。


気づかないうちにたくさん殺してしまう夏みたいに、村上も殺してしまうんだね。



わたしの気持ちなんてあんたは知らないでしょって。

かわいそうだねって笑えたらどんなによかったか。


そんなことできないから、この夏がはやく死んで欲しい。


苦しくて、つらいこの気持ちもこの夏といっしょに死んでしまえばいいのに。


この気持ちをどうか殺して欲しい。


この夏が死んでしまえば、この気持ちだって死んでしまうはずだから。


残酷な村上、殺してよ。


この夏を、殺して。


End.
< 7 / 7 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:22

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

メメント・モリ

総文字数/5,573

恋愛(その他)12ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
朝、わたしが目を覚ますと、四方を窓に囲まれた正方形の箱の中だった。 * 自分の弱さとは何か。 今を楽しむとは何か。
棺桶に接吻

総文字数/3,133

その他14ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
わたしをたべないで。
抑圧的ラブソング

総文字数/3,941

恋愛(その他)10ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
きみにだけは絶対教えない。 [すてきなタイトルは椎葉さくら様より]

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop