■王とメイドの切ない恋物語■
「ねえ、リリア」

エリザベス姫が、私の隣に座る。



「何でしょうか?」

「リリア、本当はトーマ様のこと好きなんでしょ?」

ぎゃあぁぁ…ばれてる。




一応、抵抗してみる。

「いや~、そんなことは…」

「誤魔化したってダメよ、顔に書いてあるもの」

エリザベス姫は笑った。



あぁ…そうだった。

私、ものすごく顔に出やすいタイプだった…

私は観念して

「はい」

と頷いた。




エリザベス姫は、私を見つめ、微笑んだ。

「じゃあ、私達はライバルね!私、遠慮なくトーマ様にアタックするけど、それはお互い様ってことで」



エリザベス姫が、メイドの私を、ライバルって思ってくれるだけで、すごくうれしかった。



「わかりました、お互いがんばりましよう!」

私達は、笑顔で握手した。




それから、お昼ご飯までの時間、二人で、トーマ様のいいところについて、語り合った。

私達はライバルだけど、いい友達になれそうだった。




「もっと早くリリアと仲良くなりたかったわ」

エリザベス姫は、鏡の前で髪の毛を直しながら、つぶやいた。

「そう言ってもらえて、うれしいです」

私は、心が温かくなった。




昼食の時間になったので、私達はエリザベス姫の部屋を出た。



「では、また後でね」

そう言って、エリザベス姫は広間に向かった。




さーて、私もご飯にするかー。

私は足取り軽く、食堂に向かった。
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