■王とメイドの切ない恋物語■
確かにそうだ。

店をやっても、100パーセントうまくいく保障は、どこにもない。

「そうなってしまったら、なおさら、チチリをいつ迎えに行けるか、わからなくなる。そんな不安定な状態で、チチリを俺に縛り付けてはいけないと思ったんだ。俺のわがままで、チチリを振り回したらいけないと」

そこまで聞いて、ルアンさんのチチリさんへの深い愛情が伝わってきた。

まだ好きなのに、愛してるのに、チチリさんの為に、別れるという選択をしたんだ・・・。

ルアンさんは、チチリさんのこと、本当に愛しているんだね。


私は、ルアンさんに向き直った。

「ルアンさん、ルアンさんの話はよくわかりました。チチリさんの為を思って別れたんですよね?」

ルアンさんは、小さくうなづく。

だったら、話は簡単だ。

「チチリさんにも、その言葉を、その正直な気持ちを、ありのまま、全部伝えてあげてください」

ルアンさんは、顔を上げて、私を見た。

「チチリさんは、ルアンさんに負けないくらい、あなたのことを愛しています。全て、わかってくれるはずです。今から会いに行きましょう」

私は立ち上がった。

2人の溝が深まる前に、少しでも早くお互いの身持ち、知った方がいいよね。

ちゃんと話し合わなきゃ。


ルアンさんは、少しの間考え込んでいたが、

「うん、やっぱり、このままじゃいけないよな」

ルアンさんも立ち上がった。

私達は、急いでお城にむかった。

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