■王とメイドの切ない恋物語■
「住所も、名前も違うって言ったよね?」
「はい」
私は頷いた。
「マー・オーラル、当時、私は命を狙われていたから、本名を名乗ることが出来なかったんだ。だから普段呼ばれていた、まーくんとマーヤの名字、オーラルを組み合わせて、マー・オーラルと名乗っていたんだよ」
「そうだったんですか、だから住所も…」
「そうだ。あれはマーヤの実家の住所だ。私も16歳になり、自分の身は自分で守れるようになった。そしてお城に戻った」
トーマ様は、切なそうに私を見つめる。
「リリアとお城で再び出会い、運命だと思った。その時、リリアに正体をばらそうかとも思った。だが、言えなかった。ちゃんと正式に国王になって、けじめをつけてから言いたかったんだ。今まで黙ってて本当にごめん」
トーマ様は、辛そうに深々と頭を下げた。
「やめてください」
私はトーマ様の肩をそっと持ち、顔をあげてもらった。
トーマ様の事情は、よくわかった。
トーマ様の気持ちも、痛いほどわかった。
黙っていたことなんて、全然かまわない。
こうして話してくれたし、
何より、あの手紙の優しさは、本物だと思うから。
「はい」
私は頷いた。
「マー・オーラル、当時、私は命を狙われていたから、本名を名乗ることが出来なかったんだ。だから普段呼ばれていた、まーくんとマーヤの名字、オーラルを組み合わせて、マー・オーラルと名乗っていたんだよ」
「そうだったんですか、だから住所も…」
「そうだ。あれはマーヤの実家の住所だ。私も16歳になり、自分の身は自分で守れるようになった。そしてお城に戻った」
トーマ様は、切なそうに私を見つめる。
「リリアとお城で再び出会い、運命だと思った。その時、リリアに正体をばらそうかとも思った。だが、言えなかった。ちゃんと正式に国王になって、けじめをつけてから言いたかったんだ。今まで黙ってて本当にごめん」
トーマ様は、辛そうに深々と頭を下げた。
「やめてください」
私はトーマ様の肩をそっと持ち、顔をあげてもらった。
トーマ様の事情は、よくわかった。
トーマ様の気持ちも、痛いほどわかった。
黙っていたことなんて、全然かまわない。
こうして話してくれたし、
何より、あの手紙の優しさは、本物だと思うから。